動物たちのロードキル(自動車による轢死)対策とは?!
街中で車に轢かれてペシャンコになった猫。そんな心痛まれる残酷なシーンを見かけたことはありませんか。
これを「ロードキル(自動車による轢死)」と言います。
ロードキルは何も猫だけの問題ではありません。
街中から田舎に場所を移せば、道路上で車のライトにキラキラと目を光らせているのはほとんどタヌキかも知れません。
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なぜロードキルが起こるのか?
ロードキルの原因は、もともと動物が住むところに人間が自己中心的に道路を作るからです。ナワバリに道路を作られた動物たちはお構いなしに道路を横断します。
ロードキル最大の被害者はタヌキ?!
2014年、NEXCO東日本の調べによれば、高速道路上の車と動物との事故は約19,800件。
犠牲者ランキング ワースト1位はタヌキ!
実に約8600件ものタヌキが犠牲になり、実に全体の43%にのぼります。
2位の猫は約4000件、3位はウサギで約2500件ですから、タヌキは断トツの一位です。
自動ブレーキ搭載車はタヌキを救う?!
2016年人間の交通事故死が1万人を切りましたが、その主な原因は自動ブレーキ搭載車の普及と言われています。
前述した高速道路でのタヌキの年間犠牲頭数は約2万。
高速道路だけでなく一般道を含めたら犠牲になったタヌキたちは果たして何頭になるのか想像できません。
最近の自動車に搭載された自動ブレーキ搭載車の普及により、最大の恩恵を受けるのは人間ではなく、むしろタヌキなのかも知れません。
道路標識によるロードキル対策
高速道路や田舎道でよく見かける「ある道路標識」の効果に疑問を持っています。
正方形の黄色い看板に黒いタヌキのマーク、動物注意と表示された道路標識です。
タヌキの他にも鹿や猿、クマやイノシシと動物のマークはたくさんあります。いくら注意しろと云われても車で走行していて突然動物に飛び出されたら避けられるものではありません。
何せ動物たちは人間業ではないスピードで飛び出してきますし、また人間なら道路中央を超えていたら渡りきった方がいいと判断するところ、なぜか道路中央に戻ってくる。
「人ではあり得ない行動」を取りますから、運転者からすると予測の範囲を超えてしまっています。
いくら事前に動物注意の道路標識を掲げていても防ぎきれていないことは、NEXCO東日本のデータに如実に現れており、動物注意の道路標識の効果に疑問を抱かざるを得ません。
フェンスによるロードキル対策
高速道路にはフェンスがありますから一般道路に比べれば動物たちとの事故は少ないのかも知れません。
しかし、フェンスとフェンスの間に隙間があったり、フェンスの下にタヌキが穴を掘ったり、災害によりフェンスがなくなっていたりすると、高速道路と言えども動物たちはいつでも道路に飛び出してきます。
タヌキは家族仲良く集団で行動するために道路を渡って待っている親タヌキの後を子タヌキがついて行く。
動きの速い鹿やイノシシや猿と違い、タヌキは動きが遅く、それで他の動物たちに比べて被害が多いのかも知れません。
繁殖期や子別れ、タヌキが大移動する習性がロードキルを生む!?
餌場と住処を移動する場合にロードキルに遭うタヌキも居ますが、通常は道路を横断しないタヌキもいます。
しかし、繁殖期になるとタヌキは相手を探す為に道路を横断したり、子どものタヌキが親のテリトリーから離れる為に、普段慣れない道路を横断することになり、ロードキルにつながりやすいのかも知れません。
ロードキル対策をした道路建設の方法とは?!
そもそもタヌキの生息域を分断するような道路を作るからいけないのです。そこで考えられたのが道路の下に獣道を作りこと。
動物たちが自由かつ安全に通り抜けられる様に道路下にトンネルを設置した道路を建設したのです。
これにより設計された区間のロードキル件数は格段に減少しました。
もともと穴ぐらが好きで臆病な性格のタヌキにはフェンスを作るよりもトンネルを作った方が効果的だったのです。
タヌキだけではなく、もっと大きな鹿や熊が通れる道路を建設する動きもあります。
まとめ
自然を身勝手に破壊してきた人間たち。
その犠牲になった代表がタヌキなのです。
今も多くのタヌキたちがロードキルの犠牲になっています。その数は日本の交通事故死亡者数をはるかに超えた数にのぼります。
若者のドライバーが減り、高齢者の死亡事故が増える一方、自動ブレーキ搭載車の普及や自動運転カーの普及により、交通事故自体が減少しつつあります。
人の知恵でタヌキたちもその命を救われるようになるといいですね。