たぬきには似た動物がいくつかいるとされています。
その一つが“むじな”であり、違いが分からないという人は多いです。
“むじな”とは一体どのような動物なのか、たぬきとの違いは何なのか、調べてみました。
たぬきとむじなの違いからもたらした事件
大正時代に「たぬき・むじな事件」という事件があり、むじなという言葉が広まりました。この事件はとある猟師があなぐまと思って銃を向けた先がたぬきだった事から刑事沙汰にまで発展したそうです。
当時、たぬきは猟銃法により、捕獲される事を禁じられていました。
この時の被告人はあなぐまの事をむじなと呼んでいたのでしょう。
結果、被告人である猟師は無罪となりましたが、この事件を発端として世間一般に「むじな」というたぬきとは別の動物がいると認識づいてしまったのです。
しかし、動物的根拠はなく、むじなという動物がいるのかいないのか、今でも明らかとなっていない部分があります。
地方での呼び方
地方により、たぬきの事をむじなと呼んだり、あなぐまの事をむじなと呼んだり、その呼び方は様々です。
実際に “貉”ムジナという漢字までも当てられているのだから、架空の動物のような気はしないのが実情ではあるのですが、この地域の呼び方の違いから生じた混同により生まれた漢字なのかもしれません。
同じ穴のむじな
「同じ穴のむじな」は昔から一見違ったように見えても中身は同じ(同じ同類)であるという意味をさすことわざです。
主に悪事を働いた者を比喩したことわざですが、これは、たぬきとあなぐまが同じ穴で寝る事があるという習性からもきているそうです。
野生の夜行性であるたぬきを昼間に観察する事は稀にない事です。
夜山の中で見つけると大きさも外見も似ているたぬきとあなぐまを区別する事は難しいでしょう。
そんな事からまとめてむじなと呼んでいるとも言えます。
たぬきと歴史
実在しない動物とされているからこそ人間の創造力もふくらむもので、
むじなという動物は昔の怪談話や民話にもよく出てきます。
主に「妖怪」として描かれる事が多いのは、たぬきともきつねともいかず、誰もはっきりとその姿を確認した事がないという事からきているのでしょう。
たぬき以上に化け、人間を惑わすとされていますが、その歴史は古く「日本書紀」でも既に登場しています。
それだけ古くからたぬきと人間の因果関係も深いものだったのでしょう。
まとめ
たまに耳にすることわざでしか“むじな”という言葉を聞く事がありませんでしたが、実在する動物ではないという事が驚きの点であった。
夜行性の野生であるが為、暗闇で見るたぬきとあなぐまの違いを見分けるのは電灯がある現在でも難しいと思われるが、昔の人々はなおさらに、奇妙ささえ感じたのかもしれない。
あまりいい意味では使われないが、「同じ穴のむじな」ということわざを今後意識して聞いてみようと思う。