タヌキは森の中が主な生息域ですが、近年では森林破壊なども進み、人里に下りてくる野生のタヌキの数も増えてきました。
東京の23区、オフィスビルの立ち並ぶ大手町でも目撃情報があるそうです。
そんな私たち人間にとって身近なタヌキですが、気を付けなければいけない病気を持っている可能性もあります。見かけたタヌキの毛が抜け落ちて、地肌が見えているようなら要注意。
“疥癬”カイセンという、ダニが寄生することにより発症する皮膚病の疑いがあります。
ヒゼンダニの寄生が原因
疥癬の原因は、ダニの一種であるヒゼンダニです。
このダニが寄生することにより、皮膚が硬くなり、ゾウのような皮膚になることもあります。
また、強いかゆみを伴うため、自分でかきむしったり、身体をどこかにこすりつけたりすることにより、全身の毛が抜け落ちてしまうこともあります。
疥癬はタヌキだけの病気ではなく、犬や猫、ウサギ、馬、牛、ハリネズミなど、そして人間にも見られる病気です。ヒゼンダニにもいくつかの種類があり、その動物によって原因となるヒゼンダニも違います。
原因となるダニ以外が寄生した場合には、一時的な症状だけで、皮膚の上でダニが増殖するということは見られませんが、細菌などによる二次感染には注意しなければなりません。
ヒゼンダニは卵を産んで増殖する
原因となる種類のヒゼンダニに寄生されると、皮膚の上でダニが増殖して症状が全身へと広がります。ダニは皮膚にトンネルを作り、その中に卵を産みつけます。
ヒゼンダニは繁殖力が高く、また感染力も強いため、人畜での疥癬は蔓延しやすい傾向にあるので注意しなければなりませんね。
治療にはイベルメクチンという薬を使いますが、適切な治療を受ければ1か月以内には完治が見込めます。
まとめ
野生のタヌキに多く見られる疥癬は、ヒゼンダニが原因の皮膚病の一種です。
タヌキだけではなく、ペットとなる犬や猫、牛や馬などの家畜、そして人間にも感染して蔓延することもあるため注意が必要です。
住宅地などで野生のタヌキを見かけても、不用意に近づいたり触ったりしないこと。
もし見かけたタヌキに疥癬の疑いがあって相談したいようなら、まずは自治体などに連絡しましょう。